ソフトウェア・シンポジウム 2012 で 7 年目を迎えるワーキンググループでの活動は,ソフトウェア技術にまつわるさまざまなテーマや課題に関する発表,議論を行うことで,参加者やグループがそれぞれの方向性を見いだしていくための場です.
WG1: アジャイルテスティング (Agile Testing)
WG2: オープンソースクラウドの諸問題
WG3: 形式手法の最新技術と産業界での適用
WG4: ソフトウェア開発の持続可能性 (Sustainability) を考える
WG5: システム開発文書品質
WG6: 要求工学
◆WG1: アジャイルテスティング (Agile Testing)
◇リーダ: 永田 敦 (ソニー)
◇概要
今回は,Agile Testing をお題にして話しあいたいと思います.スコープは,TDD などのようなコンポーネントテストレベル,もしくは統合テストレベルではなく,システムテストレベルを対象とします.理由は,どういうわけか,システムテストレベルの議論が少ないからです.プラクティスとかパターンとかも見当たらず,どのようにしたらいい,どういうところを注意したらいいという話をあまり聞きません.現場はどうなっているかというと,前と変わらないウォーターフォールでのやり方のままだったりします.今後,確実に Agile 開発が広がりを見せようとするとき,ここを押さえておかないと品質は落ちると思います.
本 WGでは,いくつかの課題を出しながらその問題を皆さんと考え議論していきたいと思います.
◇運営方法・備考
課題を出しながらディスカッションしていきます.
テストエンジニア,品質保証部門だけでなく,アジャイル開発をやられている PM,スクラムマスタ,開発者の参加も歓迎いたします.
◇リーダ: 中野 秀男 (大阪市立大学),鈴木 裕信 (鈴木裕信事務所)
◇概要
GNU/Linux およびオープンソースは,仮想化,管理,インターフェース,セキュリティなどのクラウドに必要な機能を提供している.SaaS (Software as a Service),PaaS (Platform as a Service),IaaS (Infrastructure as Service) といった異なるスタイルで提供されるモデルのいずれにもオープンソースによる構築,あるいはユーザとしての利用があたりまえのように行われている.
一方で,クラウドにおいては,SaaS/PaaS/IaaS のモデルで提供側およびユーザ側でクラウドの捉え方が違い,オープンソースクラウドといった場合の全体像がとらえ辛く,またその問題点も曖昧となっている.
オープンソースクラウドを整理し,問題点を抽出し,議論していく.
◇運営方法・備考
議論へ話題を提供することを前提に参加のこと.
◇リーダ: 中津川 泰正 (フェリカネットワークス),酒匂 寛 (デザイナーズデン),佐原 伸 (SCSK)
◇概要
ソフトウェア開発の現場では,低品質のソフトウェアによる混乱が増大している.本ワーキンググループでは,高品質のソフトウェア開発技法として実績のある形式手法について,その最新技法の紹介と,適用方法の紹介,そして今後どのように高品質のソフトウェア開発を進めていくかの議論を行いたい.議論の対象とする形式手法は,VDM・Event-B・CafeOBJ・SPIN・NuSMV・coq などを想定している.
◇運営方法・備考
ポジションペーパーの提出と審査を行います.
◆WG4: ソフトウェア開発の持続可能性 (Sustainability) を考える
◇リーダ: 伊藤 昌夫 (ニルソフトウェア),岸田 孝一 (SRA)
◇概要
ICSE2012 の基調テーマ “Sustainable Software for a Sustainable World” に呼応して,ソフトウェア開発における「持続可能性」(Sustainability) について討論する.
この概念は以前からエコロジー関連のコミュニティで議論されており,ソフトウェア工学の分野でもいわゆる Green IT まわりでの研究がいくつかなされている (たとえば ICSE2011 の NIER Session における UC Ircvine の論文).また,アジャイル・コミュニティからは数年前に Sustainable Software Process というアイデアが提案されている (チェンジビジョンの平鍋 健児さんが日本に紹介).
ソフトウェア以外の分野に目を向けると,Web Magazine “Art Pulse” に “Sustainable Art Practices/Producing Art in the 21st Century” と題した挑戦的なエッセイが掲載されており,その中では,われわれがこれまで SS の WG で討論してきた無形労働の問題についても言及されている.
今回のワーキング・グループ討論では,このエッセイに提示された設問をソフトウェアに置き換えて,参加者全員で回答を考えることにしたい.
◇運営方法・備考
参加者には,上記の Art Pulse エッセイに示されている次の 3 つの質問における Art を Software に置き換えて,自分の考えを簡単にまとめた Position Statement を提出してもらう.
・How can we define and understand a sustainable art and culture?
・How does art address the sustainability of culture?
・How can art practice itself be sustained?
参加者全員の Position Statement を事前に配布しておき,リーダが設定したいくつかの項目について討論を進める.
オープニングセッション (2 時間を想定) では,何人かのキーノートを予定している.
・無形労働としてのソフトウェア開発 (伊藤 昌夫)
・持続可能なソフトウェア・プロセス (平鍋 健児)
・芸術活動における Sustainability とソフトウェア (岸田 孝一)
なお,ワーキンググループの初日は,併設イベント「Energize! ソフトウェアとかたち」と共同で行う.
◇リーダ: 坂本 佳史 (システム開発文書品質研究会,日本 IBM),山本 修一郎 (システム開発文書品質研究会,名古屋大学),清水 吉男 (システム開発文書品質研究会,システムクリエイツ)
◇概要
システム開発文書とは,システム開発の過程で作成する要求仕様書やアーキテクチャ仕様書,検証計画書などの技術文書です.それら開発文書の品質に対する研究を活性化するため 2011 年 7 月,「システム開発文書品質研究会」(ASDoQ: Association of System Documentation Quality) を設立しました.
近年,機能安全プロセスやソフトウェア品質監査制度 (仮称) などで,開発文書に対する関心が高まっていますが,それらに求められる文書品質は十分明らかにされていません.またソフトウェアの開発においてはモデル,形式手法等の技術適用が普及しつつあります.しかしながらそのような環境下において必要となる開発文書が満たすべき文書品質はこれまでの開発文書と同様かどうかも明らかではありません.本ワーキンググループでは,このような開発文書に関連する課題と文書品質をいま一度再認識するような機会を設けたいと考えています.加えて ASDoQ にて策定中の研究ロードマップ白書を配布し,ご参加の皆様からのご意見も頂きたいと考えています.
開発文書の品質にご興味のある方々の相互の課題共有も含め大いに議論したいと思います.皆さんのご参加をお待ちしております.
◇運営方法・備考
参加希望者はポジションペーパーとして,「発表したいこと」あるいは「議論したいこと」あるいは「PR したいこと」もしくは「開発文書で困っていること」のいずれかを (複数可) を A4 サイズ 1 枚に纏めてご提出頂きたいと思います.
◇リーダ: 中谷 多哉子 (筑波大学),中来田 秀樹 (ネクストファウンデーション)
◇概要
要求工学は,要求工学知識体系が作成されるなど,ようやく実用化への足がかりが得られた段階である.今回の要求工学 WG では,以下のテーマについて,活動を行う.
1. 参加者のうち,ポジションペーパを提出頂いた方々によるポジション発表会と討論を行います.
2. グループ活動を行います.要求仕様書の品質向上を目指して仕様書の品質モデルを適用すると,本当に仕様書の品質は向上するのか? 品質モデルを適用すると,仕様書の問題点を的確に指摘することができるようになるのか? を 1 時間程度の仕様書評価実験を行い,各自の評価結果の差異を比較し,品質向上の課題と対策を討論いたします.
◇時間割
6 月 12 日 (火曜日)
午後:
<要求工学の課題と取り組み 1>
研究発表と討論
<要求工学の課題と取り組み 2>
研究発表と討論
<IEEE std. 830-1998 (要求仕様書の品質モデル) は有効か>
品質モデルを用いた,仕様書の品質評価実験
6 月 13 日 (水曜日)
午前:
実験結果に基づく討論とまとめ
◇運営方法・備考
A4 で 1 ~ 4 ページのポジションペーパを,参加申し込み後に連絡されるメーリングリスト宛てに,PDF 形式で提出してください.ポジションペーパには,要求工学への期待,解くべき課題,課題に対するこれまでの参加者の取り組み,取り組みに対する成果などをお書きください.体裁は問いませんが,当日,参加者に配布いたします.