SEA-MAIL メルマガ版 2011 年 第 10 号

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◆SEA-MAIL メルマガ版 2011 年 第 10 号◆
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本メルマガでは、定期的に SEA 主催のイベント情報や幹事による
コラム等をまとめてお伝えします。

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◆目次
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1. これから開催するイベント
2. 幹事コラム: 蔵川 圭
「ソフトウェア開発の発注から気づいたこと」
3. SEAのSNSでコミュニティを作りませんか
4. SEA Forum のテーマ募集
5. 本メルマガへの寄稿募集

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◆1. これから開催するイベント
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これから開催する SEA 主催のイベントです。多数のご参加をお待
ちしています。

●SEA上海フォーラムと紹興ワークショップ
「高信頼性ソフトウェアを追求する」
◆上海フォーラム:「ソフトウェア品質改善への取り組み最新
動向」(11月2日)
◆紹興ワークショップ:「これからの社会とソフトェアの信頼
性」(11月3日-4日)
http://sea.jp/?p=763

●形式手法とソフトウェア品質保証のセミナー
「熊本で基本を学ぶ:形式手法とソフトウェア品質保証」
日時: 2011年11月8日(火) 13:00-17:00
会場: くまもと森都心プラザ 会議室A、B(連結利用)
熊本市春日1丁目14番1号(JR熊本駅前)
http://sea.jp/?p=778

●ソフトウェア・シンポジウム2012 in 福井
来年のソフトウェア・シンポジウムは、2012年6月12日(火)-14日
(木)に福井市駅前のAOSSA で開催予定です!

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◆2. 幹事コラム: 蔵川 圭
「ソフトウェア開発の発注から気づいたこと」
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現在、国立情報学研究所で学術情報サービスのソフトウェアの
開発を行っている。開発といっても、研究開発的なプロトタイプ
作成から実際のサービスとして事業化するための発注と運用を行
っている。SEAの仲間に加えてもらって活動をしはじめた頃には、
ソフトウェアエンジニアリングとは何かということを大学に籍を
置きながら本や論文を読んで、実際のソフトウェア開発ではいっ
たい何が問題であるのかということに思いめぐらしていたことを
思い出す。その頃から今に至るまで、一貫してソフトウェアの設
計や開発はどうあるべきか、ということを心の中に抱き続けてい
る。

ソフトウェアの仕組み、コンピューターがどう計算するのかと
いう原理、どう設計開発するのかということを大学におけるカリ
キュラムや研究室の議論で学んだ。現在の居室の隣で毎日のよう
に開講されている弊所の看板事業の一つであるTopSEの講座に立
つ講師の声から想像される内容と大学にいたときに学んだことは
おそらく同じである。これまでに、細かいことが理解できたかど
うかはともかく、ソフトウェアエンジニアリングにはどのような
議論や考え方があるのかを知ったことは今の仕事の基礎となって
いる。

国立情報学研究所にも、事業として提供している情報サービス
がある。大学における図書館業務のシステムや、論文や研究助成
に関連する学術情報のデータベースであり、それらはWeb上に公開
されたエンタープライズシステムとなっている。日本の研究者の
中には、NACSIS-CAT、CiNii、KAKENなどの学術情報サービス名を
聞いたことがある人も多いと思われる。学術情報サービスという
ドメインは、ソフトウェアに要求される機能と要件が、よく授業
で取り上げられる医療機器の組み込みシステムや大規模な証券シ
ステムとは異なる。少なくとも、学術情報サービスは、生死に直
結するような品質を求められることもないし、金銭に絡んで紛争
を起こすようなこともない。ただ、大学の先生や研究者の名誉や
評判に関わるようなことには気を使う。

国立情報学研究所に来て事業システムの開発が仕事の一つとな
り、最初に持った興味は、実際の開発はどのように行われている
のかということであった。弊所では内製はしておらず、ソフトウ
ェアの仕様を作成して発注する。開発者とは定期的に打ち合わせ
を行いながら詳細な仕様を決定していき、最終的にソフトウェア
とドキュメントができあがる。ドキュメントには設計書やテスト
仕様書、運用手順書などが含まれる。これらのすべてをもって、
開発の様子を想像する。

弊所での開発体験から得た最初の気づきは、実際のソフトウェ
アは思うようには動いていないということであった。第二の気づ
きは、かならずしも大学で教えるような技術をすべての開発者が
使っている訳ではないということであった。第三の気づきは、ソ
フトウェア開発の見積もりはできないということであった。こう
言い切ってしまうと弊所の開発チームを無能呼ばわりしているよ
うな誤解を与えるが、そうではなくて、どんなに優秀なチームで
あってもこれらの問題に立ち向かいながら最終プロダクトをリリ
ースするというのがソフトウェアプロジェクトの本質ではないか
と思う。

これらのことが起きるのは、少なくとも私が関わっている開発
では、初期の仕様を発注仕様書として与えてからプロジェクトが
スタートし、徐々に詳細な仕様をつめていって最終プロダクトと
して実現されるプロセスを追うからである。仕様詳細化のプロセ
スを追うとき、上流仕様変更は開発者が最も嫌い、仕様の詳細化
にあたっても常に一貫性をもった詳細化が求められる。初期の発
注仕様がおおまかな外部要求としてプロジェクトに投入されてか
らは、発注者としての私がどう詳細化したいかではなく、プロダ
クトはどう詳細化されたがっているかを常に考えるようにしてい
る。詳細化の結果は論理的な思考のみに導かれる。詳細な仕様が
初期の予想と異なっていても、そこに至る思考を明示すること
で、不思議と開発者は納得して仕様変更を受け入れる。

事業として開発を進めるときコストと納期を常に意識する。ソ
フトウェアエンジニアリングにおける技術を習熟したり適用した
りするにも、コストと納期を意識した結果、あまり細かいことを
問わない方が良い結果を生むときがある。むしろその技術の適用
によって左右されるインパクトよりも、ソフトウェアを作る人の
個性がもたらすインパクトの方が、大きく最終プロダクトの善し
悪しを決めると思われる。そういった意味で、適材適所のチーム
構成が最終プロダクトの性格を決める結果となることを体感して
いる。

ソフトウェアの見積もりは、開発者との阿吽の呼吸になってい
る。詳細な仕様が決定していなければ細かい見積もりもできず、
あまり細かすぎる見積もりはむしろそれにコストがかかってしま
う。発注者の私ならこういう手順でこうプログラムを書いていく
というワークを想像しながら、開発者の思いとすりあわせてい
く。コスト見積もり手法とはほど遠い。開発経験のない営業との
折衝ではこの方法はまったく通用しなくなる。

ソフトウェア開発は仕様の決定と実装にかかわる連続的なコミ
ュニケーションの結果であることを発注者の立ち位置から体験し
ている。ここでは関係者全員が理性的であることを常に求められ
ている。理性がコミュニケーションコストを最小にする唯一の方
法ではないかと考えている。

最後に、現在もなお私の頭を悩ませていることがある。それ
は、ハードウェアについて見積もり合わせした結果一番安く想定
した製品を購入できるように、まだあまり仕様のはっきりしない
ソフトウェアの開発案件を見積もり合わせして、結果的に一番安
く、想定したソフトウェアを手に入れるうまい方法が見つからな
いことである。これは可能か、否か?これができれば官公庁のソ
フトウェア開発入札業務がもっと明瞭で合理的になるであろう
に。

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◆3. SEAのSNSでコミュニティを作りませんか
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SEAでは会員サービスとしてオープンソースのOpenPNE Version2
を使ったSNSを運用しています。このSNSではコミュニティでのト
ピックやイベントでファイルを置くことで情報の共有などができま
す。

SEAのSNSを活用して、コミュニティを作成しませんか。たとえば
SEA関西では、SEAの幹事や会員が責任を持って他の会員や非会員
の方も招待して、分科会やメーリングリストだけでなく情報共有で
きる場を作ろうと思っています。

SEAのSNSへの参加を希望される方は

sns-adm [at-mark] sea.jp

までご連絡ください。折り返し招待メールが届きます。

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◆4. SEA Forum のテーマ募集
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SEAでは、今後もソフトウェア技術者の方にとって魅力的なForum
を企画、提供していきたいと考えています。採り上げて欲しいテー
マやご要望がございましたら、お気軽に、下記の専用メールアドレ
スまでご提案ください。

forum-req [at-mark] sea.jp

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◆5. 本メルマガへの寄稿募集
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本メルマガでは、毎回幹事のコラムを掲載しておりますが、会員の
みなさまからの寄稿も歓迎致します。「メルマガへの寄稿」と明記の
上、下記の問い合わせ先までご連絡ください。

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SEA-MAIL メルマガ版 2011 年 第 10 号
ソフトウェア技術者協会 http://sea.jp/
お問い合わせ先: mailto:office [at-mark] sea.jp
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