SEA-MAIL メルマガ版 2012 年 第 6 号

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◆SEA-MAIL メルマガ版 2012 年 第 6 号◆
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本メルマガでは,定期的に SEA 主催のイベント情報や幹事による
コラム等をまとめてお伝えします.

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◆目次
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1. これから開催するイベント
2. 幹事コラム: 酒匂 寛
「ソフトウェアを越えて」
3. SEAのSNSでコミュニティを作りませんか
4. SEA Forum のテーマ募集
5. 本メルマガへの寄稿募集
6. SEA on ソーシャルメディアのご紹介

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◆1. これから開催するイベント
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これから開催する SEA 主催のイベントです.
多数のご参加をお待ちしています.

●SEA Forum:「プライバシーやビッグデータ問題を考える」
1. 日時: 2012年 8月 20日(月) 18:00受付開始 – 20:30
2. フェリカネットワークス株式会社 受付会議室
東京都品川区大崎 1-11-1
ゲートシティ大崎 ウエストストタワー 16 階
3. 参加費:
40 歳未満: 1,000 円
40 歳以上:
SEA 正会員: 1,000 円
SEA 賛助会員: 2,000 円
一般: 3,000 円
http://sea.jp/?p=1094

●第6回 SEA名古屋支部・教育分科会(SIGEDU)
ジョイントフォーラム2012
 -組込みソフトウェア技術者魂の育成とオープンイノベーション
 の最近の動向-
1. 日時: 2012年 8月 24日(金) 15:00受付開始 - 18:00 終了予定
2. 場所: ABC貸会議室 5階 第5会議室
 愛知県名古屋市中村区椿町16-23 名駅ABCビル
3. 参加費:
SEA会員,学生: 1,000 円
SEA賛助会員: 1,500 円
一般: 2,000 円
http://sea.jp/?p=1125

●10月27日-31日開催:上海・西安・延安・SEAイベントツアー
 「セキュアなソフトウェアシステムの開発と管理」
 上海フォーラム: (10月27日)
 西安フォーラム: (10月29日)
 延安ワークショップ:(10月30日-31日)
http://sea.jp/?p=1151

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◆2. 幹事コラム: 酒匂 寛
「ソフトウェアを越えて」
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それはある国内メーカーの知人と話をしていたときのこと.

「ウチも音楽再生デバイスのテコ入れをしなきゃ,という掛け声で
色々検討しているところなんですよ」

そこで見せて貰った資料には何やら階層モデル風の絵が描いてあり
ます.上から,レコード会社,ネットショップ,管理システム,デ
バイスといった区分けでそれぞれ,EMI,iTunes Music Store,
iTunes,iPod といったものが具体例として入れてあって階層間にも
色々矢印が書き込まれています.矢印は情報(商品)の流れを表し
ているようです.

「Apple はこうした世界を一本にまとめてるから強いんですよ.ウ
チはネットショップや管理システム,そしてデバイスそれぞれを,
てんでにやってるから上手くいかないんですよね.この辺やこの辺
を整理して組合せの数を減らしてシンプルにすれば随分簡単になる
んですけどね」

ところで,その図を見せられたときに,とても気になることがあり
ました.いかにも Apple を意識しているような構成図の中で,デバ
イスやネット戦略なるものを考えようとしているようにしか見えな
かったのです.そこで素朴な疑問を投げかけてみました.利用者の
音楽体験をどうしたいのですか,と.

目指したいのは,音楽を聞く人に素晴らしい「音楽体験」をして貰
うことですよね.最初にレコード会社が存在していてそこからパッ
ケージになった音楽が流れてきて,それが最下層のデバイスに流れ
込むという単なる既存の商品流通の最適化の話だけでは,ここにも
描いてあるような Apple の後追いモデルにしかならないのではない
ですか.なによりも,音楽はいつどこで生まれて,それを聞く人へ
どのように届ければ嬉しいと思って貰えるのでしょうね.

どうやらその知人は虚を衝かれたようでした.情報化された音楽商
品がまずあって,これを適切に取引するための最適設計という方に
頭が先に行ってしまい,音楽がどのように生まれ,どのように聞き
手のところに届けられるべきなのかということについての発想が全
く抜け落ちているようでした.

いやしかし,その資料の中に書いてある矢印のいくつかには「 UX
の向上」と書かれているのです.UX = User eXperience というのは
バズワードのようですが,こうしたコンシューマー機器の世界では
特に頻出しているようです.実際知人も「最近二言目には UX と言
われるんですよ」と話していました.が,どうやらその資料に書か
れていた UX とは単に「流通体験」であって「音楽体験」ではない
ようでした.

例えばかつて SONY が初代ウォークマンを作ったときには,いつで
もどこでも音楽を持ち歩いて聞けるようにしようという,音楽体験
の革新への思いが先にあった筈ですし,更にもっと遡ってエジソン
が蓄音機を発明したときには,流れ去るだけの「音」をここに留め
たいという動機があった筈です.Apple iPodの場合は「持っている
曲をとにかく全部持ち歩いて聞きたい」というのが発想の原点で,
それに付随して利便性を高めるためのストアが用意されたに過ぎま
せん.残念ながら知人の資料の中にはそうした,最も基本となる
「音楽体験」をどのように考えるべきかというヒントを見出すこと
はできませんでした.

さてここでソフトウェアの世界に視点を移動しましょう.特に日本
ではこれまでこうした話から「ソフトウェア屋」さんは疎外されて
来ました.ハードウェア先行の発想で組み上げられたシステムの中
で,最後に辻褄合わせのようにソフトウェアに負荷がのしかかり,
「とにかく機能する」ものが絞り出されて来たため,同じメーカー
の中でさえ,ハードウェアの縦割り構造の中で機能的には重複しな
がら互換性のないソフトウェアが生み出されるという現象がしばし
ば見受けられています.もちろんソフトウェアの重要性そのものは
声高に叫ばれるようになっていますから,最近は「ソフトウェア基
盤の共通化」の旗印の下に各部門に散らばっていたソフトウェア部
隊を集めて統合を進めようという動きが見られるようになりました.
しかし,こうした動きはまだあまり効果を生み出していないように
思えます.それは結局ハードウェア側からみた「部品としてのソフ
トウェア」でしかないからです.つまり足りない機能をソフトウェ
アが何とかしろという発想です.

しかし今やハードを前提とした具体化以前に,真に利用者に奉仕す
る価値の検討とモデル化が必要とされています.先に書いた話との
関係で言えば「音楽体験」の価値向上を考えながらモデル化を行い,
そのモデルを支援するシステムを発想し,そこへ向けてのアーキテ
クチャを検討した上で,ハードウェアとソフトウェアの役割分担を
検討すべきなのです.なおここで「モデル」と書いたのは伊達や酔
狂ではありません.大規模なレベルで価値検討を安心して進めるた
めには,しっかりとしたモデリングの仕掛けを用いて常に整合性を
検証したり,静的・動的な性質の解析を行えるようにしておく必要
があるからです.そしてこうした世界ではソフトウェアの世界で培
われてきた様々なモデリングノウハウが活かされる筈なのです.

最初の話題に戻ると,これまでの「音楽体験」に対するメーカーの
発想は基本的に「消費者側,聞き手側」だけでした.優れたコンテ
ンツはレコード会社によって揃えられているのだから,それを如何
に便利に手に入れて聴くかを検討するだけでも十分に魅力的な商品
を作ることができたのです.これに対して「音楽を作る」「音楽を
分け合う」といった分野はアマチュア・ミュージシャンの台頭やソー
シャル・ネットワークの発展で進み始めたものの,まだまだ手付か
ずなのではないでしょうか.消費者の世界で破竹の勢いを持つApple
もソーシャルな世界では存在感がありません.

知人とはこうした話をして終わったのですが,なかなか発想の転換
は難しそうでした.それで新製品へ向けての概念整理は進んでいる
のですかと尋ねると,それぞれの部門間の思惑があってなかなか話
が進まないのだというお話.外部に向けてやるべき大きなゴールが
ある筈なのに,いざ個別の部門の利害が絡むとお互いに譲らないと
いうデッドロック状態のようです.ここにも「総論賛成各論反対」
の典型例が.

(注)以上,現実にあるような話かも知れませんが,一部フィクショ
ンです(笑).

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◆3. SEAのSNSでコミュニティを作りませんか
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SEAでは会員サービスとしてオープンソースのOpenPNE Version2
を使ったSNSを運用しています.このSNSではコミュニティでのト
ピックやイベントでファイルを置くことで情報の共有などができま
す.

SEAのSNSを活用して,コミュニティを作成しませんか.たとえば
SEA関西では,SEAの幹事や会員が責任を持って他の会員や非会員
の方も招待して,分科会やメーリングリストだけでなく情報共有で
きる場を作ろうと思っています.

SEAのSNSへの参加を希望される方は

sns-adm [at-mark] sea.jp

までご連絡ください.折り返し招待メールが届きます.

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◆4. SEA Forum のテーマ募集
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SEAでは,今後もソフトウェア技術者の方にとって魅力的なForum
を企画,提供していきたいと考えています.採り上げて欲しいテー
マやご要望がございましたら,お気軽に,下記の専用メールアドレ
スまでご提案ください.

forum-req [at-mark] sea.jp

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◆5. 本メルマガへの寄稿募集
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本メルマガでは,毎回幹事のコラムを掲載しておりますが,会員の
みなさまからの寄稿も歓迎致します.「メルマガへの寄稿」と明記の
上,下記の問い合わせ先までご連絡ください.

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◆6. SEA on ソーシャルメディアのご紹介
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SEAでは,以下のソーシャルメディアでも最新の情報を
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SEA-MAIL メルマガ版 2012 年 第 6 号
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お問い合わせ先: mailto:office [at-mark] sea.jp
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