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◆SEA-MAIL メルマガ版 2012 年 第 8 号◆
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本メルマガでは,定期的に SEA 主催のイベント情報や幹事による
コラム等をまとめてお伝えします.
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◆目次
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1. これから開催するイベント
2. 幹事コラム: 野村 行憲
「iOS と Android」
3. SEA Forum のテーマ募集
4. 本メルマガへの寄稿募集
5. SEA on ソーシャルメディアのご紹介
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◆1. これから開催するイベント
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これから開催する SEA 主催のイベントです.
多数のご参加をお待ちしています.
●第26回 SEA教育ワークショップ2012
「明日の時代を担う人材育成の基盤システム,技術者教育を議論
する! -事例研究・討論-」
1.日 程:2012年10月25日(木)~10月27日(土)
2.会場
滋賀県大津市 湯の宿 木もれび
3.定 員:15名(申し込み先着順)
4.参加費(2泊3日フルセッション参加時)
SEA会員:¥35,000 賛助会員:¥37,000
一般:¥40,000 学生:¥30,000
http://sea.jp/SIGEDU/workshop.htm
●10月27日-31日開催:上海・西安・延安・SEAイベントツアー
「セキュアなソフトウェアシステムの開発と管理」
上海フォーラム: (10月27日)
西安フォーラム: (10月29日)
延安ワークショップ:(10月30日-31日)
http://sea.jp/?p=1151
●ソフトウェア信頼性研究会 第8回ワークショップ
1.日程: 2012年11月11日(日)~ 12日(月)
2.会場: 滋賀県近江八幡市沖島町宮ヶ浜
休暇村 近江八幡
3.定員: 22名
4.参加費(予定):
SEA 正会員 10,000円,SEA 賛助会員 15,000円,
一般 20,000円,学生 5,000円
http://sea.jp/?p=1200
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◆2. 幹事コラム: 野村 行憲
「iOS と Android」
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ソフトウェア業界の会社では技術者として入社しても年数を重ね
ると管理職としての仕事が増えてきて,そのうちプログラムを書く
ことが無くなるのが一般的なようだ.私も振り返ってみると30台後
半からは管理職としてプログラムはおろか設計書さえ書くことが無
くなっていた.プログラマ35歳定年説を唱えるものもいる.そもそ
もプログラムを書くことが好きでこの業界に入ったこともあって,
管理職の仕事はフラストレーションが貯まる.この解消に週末プロ
グラマをしていた.
また,1986年にMacintosh Plusを購入して以来そのOSのエレガン
トさに惹かれ,会社でのアセンブラやコボルのプログラムを離れて
Pascalでのプログラミングも楽しんでいた.それからずっと自宅で
はMacを使い続けている私が iPhone 3G が日本で発売されて直ぐ入
手したのは至極当然の流れだった.そして,iPhoneのアプリに自分
が欲しい機能を持つものが未だ無かったことで,「無いものは自分
で作る」というプログラマの虫が騒いだのは言うまでもない.
かくして,2009年の正月休みに意を決して Objective-C の入門
書を紐解いたのだった.
・iOS用アプリ
このメルマガは広告媒体ではないのでアプリの名称等は割愛する
が,上記のような経過で取り組んだ iOS用の自作アプリは,1月末
に完成し,アップルの審査に上申することができた.
ところで,iOSのアプリの製作にはアップルに開発者として登録
し,無償のiPhoneSDK(Xcode)を入手して行う.ここまでは参考書
以外の出費は不要だが,実機で動作させるためにアプリに組み込む
証明書(Provisioning Profile)を入手するには約一万円の登録料
が必要になる.この登録でApp Storeへ有償・無償アプリとして公
開できる権利も生じる.(一年間の有効期限もある)
アップルの審査は結構時間が掛かったが,一本目は一回でパス
して有償で公開できたが,二本目はアップルのUIガイドラインに従っ
ていないとか,使用している写真にアップル製品の一部が写ってい
るなどで数回リジェクトされたりもした.
この年の10月には三本めのアプリもリリースしたが,このアプリ
に対して2010年に「iPhone以外の機種を持つ友人がとても欲しがっ
ている」というコメントが入るが,その時点では Androidには対抗
意識が有って(Jobs氏程ではないにしろ)無視していたのだが,ふ
と「Androidを使ってみもしないで批判するのは説得力が無い」こ
とに思い立ち,アップルが最も対抗意識を持つ Galaxy SIIを入手
して使い始めてみた.そして,2012年の正月休みに Android SDK
に取り組んだ.
・Android用アプリ
取り組んで最初に面食らったのは画面のレイアウトだった.iOS
ではドロー系ソフトに部品を配置するような自由さでレイアウトで
きるインターフェイスビルダーがあったが,Androidではまるで違う
レイアウトになる.HTMLのようにテーブルレイアウトやリニアレイ
アウトといった要素にボタンなどの部品を配置していく.この画面
レイアウトの壁を超えると後は比較的容易にアプリが制作できる.
できたアプリはGoogleのマーケットに登録料25$を支払うと,直ぐに
審査なしで公開される.アップルのApp Storeでは段階ごとに細かく
決められている販売価格が,Andoroidでは自由に設定できる.
Androidではアプリを有償でリリースすると,販売レポートに購入
者の個人情報が提供されるのにも驚いた.インストールされた機種
やAndroidのバージョン情報の統計以外に,購入者の氏名,住所,
Googleアカウント(メールアドレス)を見ることができる.これは
逆の立場だと個人情報がアプリ製作者に漏れているということだ.
(無償アプリでは個人情報は提供されない)
・iOS と Androidの比較
iOSアプリのユーザに背中を押されたお陰で両方のアプリを製作
する機会を得たので,幾つかの観点で乱暴に比較をしてみる.
【画面レイアウト】
Androidは多種多様な画面に対応するため?HTML的な配置ルール
で部品を配置.iOSでは,ほぼ好きな位置に部品配置ができる.
【開発言語】
AndroidはJava,iOSはObjective-C.
【開発環境】
Androidは,Eclipse+AndroidSDKで,セットアップがちょっと難
しいが,iOSではiPhoneSDK(Xcode)をインストールするだけ.
【アプリの公開】
Androidでは自由に自サイトでも公開できる.販売にはGoogleの
マーケットを使うのが楽.iOSでは必ずアップルの審査を経て,
App Storeでのみ公開できる.(一部テスト用に配布することも
できるが,その場合でもAppleから電子証明書の発行を受ける必
要がある)
【販売手数料】(ま,暖簾代)
どちらも3割.
【実機での動作】
iOSでは自分の開発用iOSデバイスであっても,有償の開発者登録
を行なって電子証明書をアプリに組み込まないと実機で動作させ
ることができない.(エミュレータでの実行は無償でも可能)
Androidでは何の制約もなく実機に組み込んで動作させることが
できる.
・マーケットの違い
同じアプリをiOSのApp Storeと,AndroidのGoogle playに,ほぼ
同価格でリリースして,その販売状況からそれぞれのマーケットの
違いについて考察してみる.
iOS版は2009年10月末にリリースし今年9月末までの販売数を日数
で除すると,一日約2.3本,Android版は2012年2月中旬のリリースで,
一日約0.8本という販売実績だった.
これだけのデータで乱暴にマーケットの違いを考察してみる.
まず,iOSについて,アップルはiPhone以前にiPodをリリースした
際にiTunes Storeにおいて楽曲をオンラインでダウンロード販売を
する環境も併せて提供し,デバイスだけでなくコンテンツの提供と
利用のエコシステムとそれを使う文化を醸成した.楽曲のみならず
iPodで動作するゲームアプリなども同様に提供していた.このため
利用者はコンテンツやアプリをオンラインで「購入」することに慣
れていて,iOSのApp Storeが追加されても抵抗なくアプリケーション
をオンラインで購入する文化が醸成されたと思う.
一方,AndroidではGoogleのフリー(無償の意味が強い)の文化
が底辺にあってアプリも無料でという意識が強く支配しているよう
に思われる.私のアプリでも使用したい時に一旦購入し,使い終わっ
て直ぐに返品したと思われる人も数件あった.(確証は無いが)
ちなみに,アプリの価格はアップルの最低価格85円だ.缶コーヒー
一杯よりも安くても有償に対する抵抗は結構あるようだ.「有償な
んだから私の思うように『改善』しろ!」というコメントがあった
りして驚いたこともある.(これはAndroidユーザーでiOSに乗り換
た人からのコメント)
スマートフォン向けにアプリを「有償」で公開するのは結構覚悟
が要るものだと痛感する.
・BTW;
Androidアプリを勉強し始めてレイアウトの壁に突き当たった私は
ちょうど開催されていたAndroidアプリの勉強会に参加してみた.
後一ヶ月ほどで還暦を迎える私は,当然勉強会の最年長参加者だろ
うという自負が有ったが,なんと70歳代の先輩がおられ,既に数本
の無償アプリをリリースしていて脱帽した.ここで改めて「プログ
ラマー35歳定年説」について異論を唱えたい.私もまだまだひよっ
こだった.
ソフトウェア技術者として働いた経験を持ち,その魅力に取り憑
かれているのかもしれないが,この世界では常に新しい技術が次々
と登場するので飽きることがない.残念ながら新たなものを自ら生
み出す能力は無いが,新しい技術を興味の向くまま気ままにつまみ
食いできる幸せを謳歌している.そんな私にアップルからのプレゼ
ントがあった.9月で終了になるはずだったiCloudの20GB増量の
期限がなんと2050年9月まで延長するというのだ.その期限まで寿
命が無いだろうが,もっと頑張れとエールを送られた気がする.
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◆3. SEA Forum のテーマ募集
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SEAでは,今後もソフトウェア技術者の方にとって魅力的なForum
を企画,提供していきたいと考えています.採り上げて欲しいテー
マやご要望がございましたら,お気軽に,下記の専用メールアドレ
スまでご提案ください.
forum-req [at-mark] sea.jp
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◆4. 本メルマガへの寄稿募集
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本メルマガでは,毎回幹事のコラムを掲載しておりますが,会員の
みなさまからの寄稿も歓迎致します.「メルマガへの寄稿」と明記の
上,下記の問い合わせ先までご連絡ください.
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◆5. SEA on ソーシャルメディアのご紹介
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SEA-MAIL メルマガ版 2012 年 第 8 号
ソフトウェア技術者協会 http://sea.jp/
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